大阪は、古代の難波宮から現在に至る、1370年を越える繁栄の歴史を持つ。
都市の発展には、市民の活動が欠かせなかった。近世にあっては、主要な橋梁の建設や運河の 浚渫 など、地域の人々が多くの公共事業を請け負った。近代にあっても、大阪城復興天守閣や中央公会堂の建設、御堂筋の拡幅など、市民の寄付や応分の費用分担をもって、都市の主要な機能が整えられてきた。官民連携の都市経営は、大阪の伝統である。その背景には、公共のために資することを善とする市民の意思があり、公益のために実践することを是とする共同体の覚悟がある。その精神は「売り手よし、買い手よし、世間よし」という、商都である大阪に固有の「三方よし」の考え方に 収斂 する。それは自身の利益を追うだけではなく、他者の立場にも利することで、はじめて良い地域社会が実現するという信念である。
このような哲学のある大阪にあって、他都市に先駆けてエリアマネジメントに関する制度を整え、官民連携による地域の価値を高める独自の活動を活性化させていることは必然である。私たちは今後も、官と民、地域と地域が強く絆を結ぶことで、さらに優れた都市を創造し、大阪流のまちづくりを継承してゆくことを確信している。